日記

島田氏の中沢氏批判について
(2007年03月28日)

 島田裕巳氏が、かつて一時的に松本氏を擁護した中沢新一氏とその著作である『虹の階梯』を批判する著作(中沢新一批判ないし宗教的テロリズム)を近日中に発刊する、という話を聞きました。

 中沢氏は、日本のチベット密教研究者(ならびに修行者)として第一人者であると思います。そして、チベット密教ニンマ派の教義と瞑想修行を解説した『虹の階梯』は非常に有名になりました。

 中沢氏とオウムの関係は、89年に出家者の問題や坂本弁護士事件の疑惑でオウムが批判された際に始まり、中沢氏は週刊誌で、「オウム真理教のどこが悪いのか」とオウムを擁護しました。松本氏らオウム側は、中沢氏と初めて接触したのが、雑誌の企画による松本氏と中沢氏の対談。その数年後も、松本氏と雑誌で対談。ポイントでオウムを擁護しました。氏の書いた『虹の階梯』を読んでオウムに入会した人も多くいます。

 その中沢氏について、島田裕巳氏は、中沢氏の言動と『虹の階梯』の双方について批判し、その著作を近日中に出版するという情報です。

 島田裕巳氏は、事件発覚前は、松本氏とオウムに一定の理解を示したため、教団の信者勧誘に協力したとの疑惑を持たれるなどの辛酸をなめ(事実に反するが)、事件発覚後は、オウムに関する分厚い総括本を出版しました。

 一方中沢氏は、私が知るところ、事件発生後、いくつかの週刊誌と月刊誌で、オウムの問題点を指摘したことがあったと思います。ただ、島田裕巳氏のような、重厚な総括本は出していないと思います。

 また、中沢氏の著作である『虹の階梯』は、中沢氏の教えを説いたものではなく、チベット密教ニンマ派の伝統的なテキストの日本語訳ですから、その内容を批判するということは、チベット密教の教義の批判にも繋がる意味で、大きな問題です。

 私も、『虹の階梯』はよく読みましたが、自分自身の経験に基づいて考察すると、今のところの結論としては、『虹の階梯』自体が悪いのではないと思います。

 確かに、『虹の階梯』の中には、例えば、グルに対して全く批判せずに服従するように説いている、と誤解されるような記述もあります。しかし同時に、弟子になる者が、間違ったグルを選ばないように、グルを慎重に選ぶことや、グルとなる者の資格について、しっかりと記述されています。

 しかし、「松本氏の教えを肯定したい」という気持ちが強い信者が、『虹の階梯』を読むと、両者が一致している解釈をする可能性があると、私も自分の経験上思います。

 今現在の私は、松本氏への信仰が冷め、さらに、チベット密教の教えを以前より多角的に学び、両者が本当は違うことがわかりました。それどころか、『虹の階梯』をうまく使えば、信者を松本氏から脱却させるために役立てることもできます。

 『虹の階梯』の大半の部分は、何の問題もない仏教の基本的な教義が説かれており、松本氏の説法教材の替わりに用いることができますし、『虹の階梯』の中には、弟子になる者が、グルを慎重に選ぶことや、グルとなる者が備えるべき厳しい資格について、しっかりと記述されています。

 よって私は、昨年、『虹の階梯』を含めたチベット密教の経典の一部を引用しながら、信者に講義することがありました。もちろん、『虹の階梯』のグルイズムの部分は一切引用せず、基本的な仏教の教えの部分を引用しただけです。

 そして、ダライ・ラマ法王やその関係者が、チベット密教にあるグルイズムや殺人肯定の教えについて、その正しい解釈(=一連の事件を起こさないような解釈)を示している、複数の資料・著作を信者に見せました。これは、私のオフィシャルサイトで掲示されている、私のアーレフ信者に向けたメッセージの中にも見ることができます。

 しかし、以前は、自分の密教教義に対する無知と、松本氏に対する盲信を背景として、『虹の階梯』を間違って解釈したことがあり、この点について、中沢氏には誠に申し訳なく思います。

 そして、上記のお詫びを前提として申し上げますと、中沢新一氏に、オウム真理教とその密教的な教えの解釈の問題について、もっと徹底的な総括本を書いていただけないかという思いは、正直言ってあります。

 例えば、『虹の階梯』の間違った解釈、正しい解釈といったものが示されたならば、と思いました。私だけでなく、私が模索の中で巡り会った思想家の方の中にも、中沢氏の『虹の階梯』の総括を求めている人がいました。

 この点が、分厚いオウムの総括本を書いた島田裕巳先生が、中沢先生に十分に納得がいかなかったところではないか、と推察します。

 繰り返しになりますが、非は中沢氏ではなく、事件を起こした私どもの教団にあります。また、以前の私ならば、仮に中沢氏の総括本が出ていても、その本を読む気にならなかったかもしれません。

 しかし、事件発覚以来12年が経ち、上祐派が脱会し、教団内も分裂し、教団全体が変わってきています。今なら、耳を傾ける信者、欲している信者は少なくないと思います。

 そして、客観的に見て、チベット密教の関係者とその教義がオウムを支持した(ように見えた)影響は、今現在の信者に対しても、少ないとは言えません。
 
 その意味では、日本のチベット密教関係の第一人者であり、信者と社会双方に対して多大な影響力がある中沢先生が、オウムとチベット密教の関係に関する本格的な総括に乗り出されることは、余人を持って代え難い、重要なことだと思います。

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