日記

聖地巡礼日記3 東大寺・不空羂索観音
(2007年07月14日)

さて、今回は、7月5日に、大仏の後に参拝した、同じ東大寺の中にある法華堂(別名3月堂)の不空羂索観音をご紹介したいと思います。 

私が東大寺に行こうと思ったのは、最初は、その大仏を見るためではなく、この不空羂索観音像を見たいと思ったからでした。

動機は、単純で、観音菩薩が好きな上に(ひかりの輪の祭壇に飾っている三仏の内の一つ)、このシリーズ日記の一回目にも、ご紹介したように、不空羂索観音と、ミクシィなどのネットが結びついたからでした。

羂索とは、あみとつなという意味で、英語で言えば、正にネットですし、「けんじゃく」と読むので、ネット用語の検索に音が似ていることもあり、不空羂索観音=ネットの観音様、というイメージが沸いたのでした。
 
観音菩薩は、正確には、観世音菩薩とか、観自在菩薩と解釈されており、この世の衆生の苦しみ嘆く音を観 じている(=聞いている)とか、自在に観じる(=見る)ことができる、と言いった意味があります。

釈迦が悟る前の王子時代を象徴し、釈迦と一体と解されたり、南無阿弥陀仏で有名な、阿弥陀如来の化身ともされ、慈悲や智慧を象徴し、衆生済度を志す菩薩として、ご存じの通り、古くから日本でも広く信仰され、正に、仏教界のスーパースターです。

観音の姿形については、33の化身を持つ、とも言われ、最もオーソドックスな聖観音菩薩像を初めに、他にも、千の手段をもって衆生を済度する千手観音とか、如意輪観音とか、この不空羂索観音など、様々な形の観音菩薩の仏像があります。

さて、広い広い、東大寺の中を歩いて、いよいよ、不空羂索観音のある法華道に入りました。
大仏殿に比べると、こじんまりしたお堂でしたが、丁寧な説明に加えて、畳をひいた腰掛けることの出来るスペースなど、参拝客に対する細やかな気遣いがありました。
















御堂の中は多少暗いため、仏像の細かいところはよく見えませんが、色々な説明を見たり、聞いたり、拡大写真を見たりする中で、想像以上の素晴らしい仏像である、と言うことが分かりました。

まず、お寺の説明によると、この不空羂索観音が頭にかぶっている王冠には、数万個の宝石が飾ってあり、これは、世界三大王冠の一つなのだそうです(他は、ルイ十五世やツタンカーメンの王冠)。

また、王冠だけでなく、旨の前で合わされた両手の間にも、実際の水晶が収められており、ライトを向けると、それが分かります。もちろん、国宝ですが、古い時代の立派な仏像だから、という普通の意味だけでなく、宝石の集合体としても正に国宝です。

さて、水晶の話が出ましたが、観音菩薩は、水晶と縁があります。インドでは、水晶をマニと言います。マニを宝珠とも訳します。そして、仏教徒がよく唱える、観音様のサンスクリット語(ないしチベット語)の真言がありますが、それは、蓮華の上の宝珠よ、という意味の言葉です。
















如意輪観音という名前の観音様がいますが、これは、如意宝珠を持っている観音様で、この如意宝珠とは、意のままに(意の如く)願望をかなえる宝珠という意味であり、それもあって、観音様は、人々の願いをかなえてくださる御利益があるとされてきました。

ただし、これは、常日頃、私が観音信仰について持っていた疑問なのですが、私のような原始仏教的な信仰を重視するものは、人々の願いをかなえてくれる観音様といっても、人間の果てしない欲望をいつでも都合良くかなえる存在というのであれば、多少違和感があるのです。

例えば、多くの人が、自分が一番になりたい、他より幸福になりたい、という願望を多かれ少なかれ抱くことがありますが、そう思っている人の願いを全てかなえることは、観音様にも不可能です。今度の衆議院選挙で、小沢さんと安倍さんの両方とも総理大臣になることは出来ません。

やはり、生きていくために必要なものは与えていただきながら、やはり、心の浄化や成熟、悟り、智慧、慈悲といったものこそ、観音様にお願いしたいところ、というのが私の考えです。

そう思いながら、この仏像の下にあった、水晶の意味合いの説明を読むと、非常に面白いことが分かりました。 そこには、水晶の意味合いとして、水が汚れを浄化する、という意味がある、ということが書かれていたのです。これならば、水晶とは、人の心の汚れを浄化する水というものを物質化した象徴物である、と解釈することが出来ます。

見方によっては、些細なことですが、私にとっては、これは、何かとても重要な気づきになるのではないか、と感じましたでした。

こうして、「ネットの観音様」の参拝は、数万の宝石をちりばめた世界有数の王冠を抱く特級の国宝に対する驚きに始まり、最後は、自分にとって、宗教的に非常に重要な理解を得る機会となって、物心両面において、非常に充実したものとなりました。
















次回は、同じ観音聖地とされ、東照宮で有名な日光をご紹介したいと思います。

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