解散して一人一人が賠償してはどうか?
解散して、一人一人が賠償することはできないのでしょうか?
ご質問にお答えするために、現在の教団の状況を私なりにご説明したいと思います。
◎解散した場合は、現実として賠償の実行は不可能
まず、今現在においても、旧団体アーレフの時代にも、在家信徒からの布施収入では、賠償と生活の資金がまかなえないために、相当の出家修行者が一般の会社で働いておりました。
しかしながら、団体に所属している者の平均年齢は既に40歳を超えており、出家修行を続けていたため、特段の技能・資格を有していない者が多く、多くの場合がアルバイト、フリーターと言った立場であり、高収入は期待できないのが現状です。
そのため、解散してバラバラになった場合は、今のように団体に所属して、集団で住んでいる場合に比較すると、
(1)バラバラになった分だけ、一人一人の生活費・コストは相当に増大し、まずは生きていくのが精一杯になること、
(2)さらには、出家していたために、財産を一切有していないため、団体から離れて独り身になった場合、将来の不安のために貯蓄をせざるを得ない可能性があること、
(3)団体は契約によって法的な賠償義務を負っているが、脱会した個人は法的な賠償義務はなく、さらには、ほとんどの信者が、そもそも旧団体の事件に直接関与していないだけでなく、全く知らなかったという背景があるために、賠償に対する動機が弱まる可能性がある、
という問題があります。
このような状況に鑑み、新団体の参加予定者は、解散してバラバラになって賠償を進めるのではなく、団体を継続し、一人一人の生活コストを抑え、互いに助け合う形で将来に対する不安を抑制し、賠償を続けていくことが最良の選択だと考えています。
◎脱会者からの支払いは、現実、非常に乏しい状態
なお、(3)の問題について言えば、破産管財人の方から情報をいただいておりますが、旧団体アーレフを脱会した人達を含めて教団に所属していない人たちがこれまでになした賠償額(サリン事件共助基金への振込含む)は、オウムまたはアーレフが団体としてなした賠償額に比較すると、非常に乏しく、現実としては、被害者賠償の資金源として極めて貧弱であるという実態があります。
具体的には、破産管財人からいただいた情報に基づけば、
(1)団体の支払額 約16億円
(2)団体以外の支払額(脱会者以外の一般の方からの寄付も含む)
約1億円
となっています。
皆さんもご理解いただけると思いますが、脱会した人たちの中には「私は教団に騙されたのだから、教団の被害者であり、脱会後も賠償をする義務などはない」という人たちも、当然ながら大勢います。
過去に、1500名を超えた出家者うち、現在は380名ほどが残り、数千人から1万人ほどいた在家信徒は、700名ほどが残っているだけですので、大多数は脱会しました。
その中には、95年までは、最高幹部を務めた人や、幹部信者であった人もいますが、事件の賠償は、
(1)法的な原則としては、逮捕された事件の関与者と団体にあり、団体からは脱会した個人にはありませんし、また、
(2)脱会した個人は松本氏の教えによる宗教活動から収益を得ているわけではなく、
(3)現実として、脱会した人の中には生きていくために精一杯となっていたり、また出家していたために財産もなく、身よりもなく、将来のための貯蓄をせざるを得ない人も多いと思います。
なお、あまり知られていませんが、この1年強ほどの間に宗教団体アーレフから脱会した出家信者についていえば、集団脱会した私たち60名弱の新団体参加予定者たちだけではなく、個人として脱会した100名ほどの者がおります。
多くの脱会者が出ている理由は、様々なものがあると思いますが、旧団体アーレフの将来に対する不安は大きく、その中には経済的な不安、すなわち、ここにいて生きていけるのかという不安も大きな一因としてあると思います。
そういった人達には、旧団体アーレフは多額の賠償負担を背負いつつも経済的な見通しがない組織に見え、一定の能力・経済力がある人は、一人で生きていくことに対する不安があるにせよ、脱会して自立する場合があると思います。
逆に言えば、旧団体アーレフの中には、脱会して自立することが相対的に難しい人たち残っていく可能性があり、(賠償を引き受ける新団体の参加者ではなく)個人として脱会する信者がこのまま増えるならば、将来における賠償金の支払いはいっそう困難となる可能性を示しています。
このような諸事情を勘案して、私たちは、単純に解散し、個々人が任意に賠償するに任せるより、旧団体の明確な反省に基づいて、新団体としてしっかりと生まれ変わって、
組織をあげて、賠償を継続・改善していくことが、最善と判断しました。
◎賠償以外の団体維持の必要性について
なお今回は、被害者賠償の視点から見て、解散をせずに新団体を設立する考えを説明しましたが、これに加えて、解散せずに新団体としてやり直す選択をした背景にはいろいろな理由があります。
それは、改めて別に説明させていただきますが、この機会に、その中の一つとして、現実として、団体の中に抱えている高齢者・障害者を含めた信者の生活の確保があります。
団体の中には、60歳、70歳を超えた高齢者もおり、新団体の参加予定者の中にも1割5分ほどそういった者達がおり、障害者も若干名おります。
そして、すでに団体の出家修行者の年齢が平均40歳を超えて、以前のような若者の集団ではない私たちにとっては、時間とともに高齢者の割合は増えていくために、最終的には全体に広がっていく問題です。
高齢の彼らは、自分の両親はすでに他界しており、また10年以上昔に旧団体に財産をなげうち出家し、子供達等の家族との縁を切ってきているため、実質的に身寄りがない状態です。
彼らの生活の扶助を行うのは、現状を考えると、団体の責任だろうと考えています。






