自己成長のセラピー講座

4.第四の勢力、トランス・パーソナル心理学の誕生  

                                                                   山口雅彦

  トランス・パーソナル心理学の成立は、マズローとチェコスロバキアの精神科医スタニスラフ・グロフという人との出会いによって起こりました。
 グロフという人は、LSDを使って意識の研究を行っていました。LSDはスイスのある製薬会社で偶然につくられ、それを服薬することによって統合失調症(分裂病)に近い体験をするので、統合失調症の患者の治療に役立つのではということで、各国の研究施設に送り、研究を依頼しました。

  グロフのところにも届き、グロフはLSDを使って実験をはじめました。

その体験はどのようなものであったかというと、サイケデリックといわれる強烈で鮮やかな色彩の洪水であったり、目が開けられないほどの強烈な光の体験はもちろんのこと、グロフを驚かせたのは、心理的退行が起こり、
幼児のころどころか、出生の記憶が甦ってくる、あるいは出生を再体験しているとしか思えない体験があったことです。

  さらには魂が体の外に浮遊するとか、前世の記憶が甦ったり、宇宙と一体化したり、たいへん美しい天国とでもいえる風景や、恐ろしい地獄のような風景を見たりなどの体験を報告する被験者が続出したことでした。

  このような体験は、マズローの研究した「至高体験」と類似しています。
そうした研究をグロフはアメリカで発表・講演したところ、
「あなたの言っていることはマズローとよく似ている。一度マズローに会ってみてはどうか」と勧められ、
マズローと会いました。
 
「自己超越」「個を超える」という意識体験が共通の研究対象であった二人の出会いによって、1960年代後半、トランス・パーソナル心理学会が設立されました。

 これがアカデミックな分野でのトランス・パーソナル心理学の成立ですが、このような心理学が出てきて受け入れられる土壌がアメリカ社会にできていたということも重要なことです。                      

※補足
なお、グロフにしろ、他のアメリカの心理学者にしろLSDを使って実験していた時期は、LSDの使用が法律で認められていた時期です。
非合法になってからグロフはLSDの使用をやめ、ホロトロピックセラピーというヨガの呼吸法を基にした方法を開発し、その方法を使って実験を続けました。ホロトロピックセラピーはLSDを使用した場合とほぼ同様の意識変化を生じさせることができるということです。(あくまでも「ほぼ」同様、です)

続く

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