自己成長のセラピー講座

9.スペクトル図と各セラピー

                                                                   山口雅彦



 次に、意識のスペクトルと各セラピーとの関係の図を説明します。

 これまでは、各セラピーはセラピー間において対立的な構図があったのですが、このスペクトル図の優れた点は、各セラピーの違いを段階的なものであると捉えて対立的に見ていないところです。
 各学派は意識の異なった層について言及しているだけであり、どれが正しくてどれが正しくないということではないというスタンスをとったことにあります。
 意識には多重な層があるから、いろんな学派があるのは、意識の違うレベルのことを扱っているからであって、対立するものではないということです。

  例えば、自我のレベルの横に、精神分析・サイコドラマ・交流分析・リアリティセラピー・・・等書いてあります。これはどういうことかというと、ペルソナのレベルから自我のレベルに意識を拡げるためにこのようなセラピー(精神分析・サイコドラマ・交流分析・リアリティセラピー・・・等)が効果がありますよということです。
 
  次の全有機体(心身一体)の段階に至るためには、そこに書いてあるバイオエナジェティック分析・ロジャーズ派セラピー・ゲシュタルトセラピー・・・が有効だということです。ここには書いてありませんが、ヨガも心身一体の状態になるためにたいへん効果があります。それだけでなく、個を超えて最終段階に至るためにもヨガは有効です。
 
  超個の帯域をあつかっているものとして、ユング心理学・サイコシンセシスなどがあります。
 
  最終段階にいたるために有効なものは、図の横を見ると、ヴェーダーンタ・大乗仏教・金剛乗仏教・道教・秘教的回教・秘教的キリスト教・秘教的ユダヤ教と書いてあります。 「あれ、これ宗教じゃないか。その前の段階までのセラピーとは違う」と思うかもしれませんが、トランスパーソナル心理学では、このような伝統的技法もセラピーの一種とみています。
 
  この最終段階に至るための方法はここでみると、新しく開発されたセラピーというものはありません。これは何故かというと、もう昔から伝えられている優れたものがあるから、あえて新しいものを作る必要がないという考え方と、現代心理学はまだ究極である心の本質にまでは解明できてないからそこに至る方法も作れないとも言えます。
 
  ユング心理学などはかなりいいところまでいっています。ユングは「チベット死者の書」の解説や禅やクンダリニー・ヨーガ、タオイズムについての研究・解説をしています。また、「自己」という「真我」や「仏性」とかなり類似した概念を提唱しています。
 
  この意識のスペクトル図が発表されて以降、セラピーの世界はさらに進歩をとげていて、プロセス指向心理学、ハコミセラピーといった療法がトランスパーソナル心理学の分野に登場しています。
  そうした体系だったものでなくても、セラピーの現場では伝統的宗教的技法とセラピーとの融合は進んできています。 
 
  心を探究していった心理学と宗教が同じことを言っているということは、そのどちらも正しいということの証明ではないかと思います。同じことを言ってるということは、それぞれがそれぞれの正しさを証明しているとも言えます。
  違うことを言ってたらどちらかが正しくて、どちらかが間違っているということになります。あるいはどちらも間違っているということもあるでしょう。
 
  物理学も最先端の量子力学では、東洋の思想と類似したことを言っています。物理学と心理学は「物」と「心」が違うだけで、物理学は物から真実を探っていった。心理学は心から探っていった。行き着いた先はかなり近いものだった、という結果がもたらされました。
  物理学・心理学・宗教とそれぞれ別にアプローチしていったものが類似したことを言っています。三つとも正しく探究しているということになるのだと思います。   
 
  このスペクトル図から学べることのポイントは、私たちの成長=意識を拡げること=苦しみの減少=幸福=脱エゴ=慈愛ということです。

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